鈴木俊貴さんは、鳥の言葉を解読した日本の生物学者です。
シジュウカラの鳴き声に単語や文法があることを世界で初めて証明し、「動物言語学」という新しい分野を切り開きました。
東京大学准教授として活躍する鈴木俊貴さんのwiki経歴と学歴、そして驚きの研究内容についてご紹介します。
Contents
鈴木俊貴のwiki経歴
鈴木俊貴さんは1983年10月生まれで、東京都練馬区の出身です。
現在は東京大学先端科学技術研究センターで准教授を務めています。
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鈴木俊貴さんの研究者としてのキャリアは、博士号取得後から多彩な展開を見せています。
2012年に立教大学の特別研究員としてスタートし、その後は日本学術振興会の特別研究員、京都大学の研究員、東京大学の助教などを歴任してきました。
2019年から2023年までは京都大学白眉センターで特定助教として活動し、2023年4月に東京大学に戻ってきたのです。
特筆すべきは、鈴木俊貴さんが世界で初めて動物言語学を専門とする研究室を立ち上げたことでしょう。
これは学問の歴史において画期的な出来事だと感じます。
東京大学卓越研究員にも選ばれており、その研究の独創性と重要性が高く評価されているのがわかります。
また、幼い頃から生き物に夢中だった鈴木俊貴さんは、高校時代に双眼鏡と出会いバードウォッチングに没頭するようになります。
大学4年生の時にシジュウカラの多様な鳴き声に魅了され、そこから18年以上にわたる研究の道が始まりました。
結婚や家族に関する公表情報はありませんが、研究に情熱を注ぐ姿勢が印象的です。
鈴木俊貴の学歴
鈴木俊貴さんの学歴は、生物学への一貫した情熱に彩られています。
中学・高校時代
鈴木俊貴さんは、東京都国立市にある桐朋中学校・桐朋高等学校に通いました。
この学校は偏差値71~72という都内トップクラスの男子進学校で、毎年多くの東京大学合格者を輩出しています。
興味深いのは、中学入試の面接で既に「将来の夢は生物学者です」と答えていたことでしょう。
幼少期からの夢を貫く強い意志を感じます。
在学中は生物部に所属し、廃部寸前だった部を立て直すという活躍も見せました。
高校時代に手にした双眼鏡が、鈴木俊貴さんの人生を大きく変えることになります。
バードウォッチングの面白さに目覚め、休日は野鳥観察に明け暮れるようになったそうです。
この経験が後の研究テーマへとつながっていくのですから、運命的な出会いだったのかもしれません。
大学時代
2002年4月、鈴木俊貴さんは東邦大学理学部生物学科に入学しました。
2006年3月に卒業した後は、そのまま東邦大学大学院理学研究科生物学専攻の博士前期課程(修士課程)に進学します。
大学3年生の時に訪れた長野県軽井沢での出来事が、鈴木俊貴さんの研究者人生を決定づけました。
卒業論文のテーマを探していた際、シジュウカラの鳴き声の豊かさに衝撃を受けたのです。
その多様性は200パターン以上にも及び、まるで単語を組み合わせているかのように聞こえました。
2008年3月に修士課程を修了すると、立教大学大学院理学研究科生命理学専攻の博士後期課程に進みました。
そして2012年3月、博士(理学)の学位を取得します。
博士課程での研究生活は、想像を絶する過酷さだったようです。
研究費の補助がない中、すべての費用を自分で負担しながら、1年の大半を森で過ごしました。
マイナス19度の極寒の中、暖房のない山小屋で生活することもあったといいます。
1日に15~20kmもの雪山を歩き回り、日の出から日没まで鳥を観察し続けたのです。
この時期、2008年6月には重要な発見がありました。
シジュウカラのヒナが「カラス」や「ヘビ」などの警戒声を聞き分けることを突き止めたのです。
指導教授の反応は冷淡でしたが、鈴木俊貴さんは独断で論文をまとめ、3年後に米科学雑誌『Current Biology』に投稿し、世界的な注目を集めることになります。
こうした粘り強さと信念の強さには本当に頭が下がります。
鈴木俊貴が発見した「シジュウカラ」の言語とは?
鈴木俊貴さんの研究によって、シジュウカラには驚くべき言語能力があることが明らかになりました。
これは動物のコミュニケーション研究における革命的な発見です。
まず、シジュウカラは敵の種類によって鳴き声を使い分けることがわかりました。
「ヒヒヒ」という声はタカなどの空から襲ってくる捕食者を指し、「ジャージャー」という声はヘビなど地上の危険を示します。つまり、異なる「単語」を持っているのです。
さらに驚くべきことに、シジュウカラは文法も使っています。
「ピーツピ(警戒しろ)」と「ヂヂヂヂ(集まれ)」という単語を組み合わせると、「ピーツピ・ヂヂヂヂ(警戒して集まれ)」という複雑なメッセージになるのです。
語順を逆にすると意味が通じなくなることから、明確な文法ルールの存在が証明されました。
鈴木俊貴さんはさらに、シジュウカラが鳴き声を聞いた時に、その対象を頭の中でイメージしていることも実験で示しました。
単なる条件反射ではなく、「ヘビ」という概念を思い描いているというのです。
この研究成果は米科学誌『PNAS』の表紙を飾り、世界中の研究者を驚かせました。
他種の鳥との「ルー語」的なコミュニケーションも発見されています。
シジュウカラはコガラの鳴き声を学習し、それを自分の言葉と混ぜた文章でも意味を理解できるそうです。
タレントのルー大柴さんの話し方から着想を得たというユニークな研究で、動物の認知能力の柔軟性を示しています。
2024年3月には、翼を小刻みに震わせる「お先にどうぞ」のジェスチャーも報告されました。
音声だけでなく、身振りでもコミュニケーションをとっているのですね。
これらの発見により、鈴木俊貴さんは「動物言語学」という新しい学問分野を確立させたのです。
動物の世界がこれほど豊かだとは、本当に感動的です。
鈴木俊貴の受賞歴
鈴木俊貴さんの研究は、国内外で数多くの賞を受けています。その実績は目を見張るものがあります。
| 受賞年 | 賞の名称 | 授与機関 |
|---|---|---|
| 2013年 | 日本動物行動学会賞 | 日本動物行動学会 |
| 2014年 | 日本生態学会奨励賞(鈴木賞) | 日本生態学会 |
| 2016年 | Journal of Ethology論文賞 | 日本動物行動学会 |
| 2018年 | 日本生態学会宮地賞 | 日本生態学会 |
| 2018年 | 日本鳥学会黒田賞 | 日本鳥学会 |
| 2021年 | 文部科学大臣表彰 若手科学者賞 | 文部科学省 |
| 2021年 | 日本動物行動学会賞 | 日本動物行動学会 |
| 2022年 | Ecological Research論文賞 | 日本生態学会 |
| 2024年 | World OMOSIROI Award | ナレッジキャピタル |
| 2025年 | 第13回河合隼雄学芸賞 | 河合隼雄財団 |
| 2025年 | 第24回新潮ドキュメント賞 | 新潮社 |
| 2025年 | Tinbergen Lecture Award | The Association for the Study of Animal Behaviour |
2013年の日本動物行動学会賞を皮切りに、毎年のように権威ある賞を受賞し続けています。
2018年には日本生態学会宮地賞と日本鳥学会黒田賞をダブル受賞という快挙を成し遂げました。
2021年は特に輝かしい年でした。
文部科学大臣表彰若手科学者賞と、2度目となる日本動物行動学会賞を受賞したのです。
そして2025年には、河合隼雄学芸賞と新潮ドキュメント賞を受賞し、さらに国際的な評価も高まりTinbergen Lecture Awardという名誉ある賞も手にしました。
これだけ多くの賞を受けているということは、鈴木俊貴さんの研究がいかに革新的で重要であるかを物語っています。
鈴木俊貴の主な著書
鈴木俊貴さんは、研究成果を一般の人々にもわかりやすく伝える活動にも力を入れています。
代表作は2025年1月に刊行された『僕には鳥の言葉がわかる』(小学館)です。
初めての単著となるこの本は、18年間にわたるシジュウカラ研究の軌跡を描いた自伝的な科学エッセイとなっています。
驚くことに17万部を超えるベストセラーとなり、「書店員が選ぶノンフィクション大賞2025」で大賞を獲得しました。
さらに新潮ドキュメント賞や河合隼雄学芸賞など、合計4つの賞を受賞しています。
2023年8月には、霊長類学者の山極寿一さんとの共著『動物たちは何をしゃべっているのか?』(集英社)を出版しました。
異なる分野の専門家との対話から、新しい視点が生まれているのではないでしょうか。
また2023年5月には、絵本『にんじゃ シジュウカラのすけ』(世界文化社)の監修も務めています。
子どもたちにも動物の不思議さを伝えようとする姿勢が素晴らしいですね。
これらの著作を通じて、動物言語学の魅力が広く社会に届いていることは本当に意義深いことだと思います。
まとめ
鈴木俊貴さんは、シジュウカラの言語能力を解明し「動物言語学」を創設した研究者です。
桐朋高校から東邦大学、立教大学大学院へと進み、過酷なフィールドワークを通じて革新的な発見を成し遂げました。
数々の受賞歴と著書の成功は、その研究の価値を証明しています。
動物の豊かなコミュニケーションの世界を解き明かす鈴木俊貴さんの今後の研究に、ますます期待が高まります。

