フィギュアスケートペアの木原龍一選手は、先天性の斜視を持つアスリートとして知られています。
目が内側に寄って見えるその特徴は、ファンの間でもたびたび話題に上ります。
果たして木原龍一選手の目は見えているのか、斜視は競技に影響しないのか、そして先天性の斜視とはどのような状態なのか。
本記事では、そんな疑問を一つひとつ丁寧に解説します。
Contents
木原龍一選手は先天性の斜視
木原龍一選手には、「先天性の内斜視」という視覚的な特性があります。
片方の目が内側(鼻の方向)に寄って見えるその外見は、メディアやSNSでも注目されてきました。
しかしこれは病気ではなく、目の位置に関する先天的な状態です。
まずは、その斜視がいつから見られるのか、そして「先天性の斜視」とは医学的にどんなものなのかを整理しておきましょう。
木原龍一選手の斜視はいつから?
木原龍一選手の斜視は、幼少期の写真からすでに確認できます。
これは「先天性内斜視」、より正確には「乳児内斜視」と呼ばれるもので、生後6ヶ月以内に発症する状態を指します。
生まれてすぐに気づかれるケースは少なく、多くは生後1ヶ月以降に判明することが多いとされています。
木原龍一選手の場合も、おそらく幼少期のかなり早い段階からこの状態が続いてきたと考えられます。
長年にわたって斜視と向き合いながら競技を続けてきた事実は、それだけで十分に驚くべきことだと感じます。
日本では、斜視は約2%の人に見られる比較的一般的な状態です。
木原龍一選手がとくに特異な存在というわけではありませんが、世界のトップで活躍するアスリートがこうした特性を持つことは、多くの人に勇気を与えてくれるでしょう。
「先天性の斜視」とは?
そもそも斜視とは、片方の目が正面を向いているにもかかわらず、もう片方の目が別の方向にずれてしまう状態のことです。
眼球を動かす6本の筋肉(外眼筋)のバランスが乱れることで起こります。
ずれる方向によって、内斜視(内側にずれる)・外斜視(外側にずれる)・上下斜視(上下にずれる)などに分類されます。
木原龍一選手は内側にずれる「内斜視」のタイプです。
先天性(乳児)内斜視の原因は、まだ完全には解明されていません。
眼球を動かす筋肉や神経系の異常、両目の情報を統合する脳の機能、そして遺伝的な要因など、複数の要素が複雑に絡み合うと考えられています。
なお、幼い子どもの場合、実際には斜視ではないのに目が内側に寄って見える「偽斜視」というケースもあります。
鼻の根元が広い・目頭の皮膚が目を覆っているなどの理由で起こりますが、成長とともに自然に目立たなくなるという点で本来の斜視とは異なります。
木原龍一選手の目は見えているのか?
多くの方が抱く疑問が、「木原龍一選手の目はきちんと見えているのか?」というものではないでしょうか。
結論から言えば、視力そのものに大きな問題はないと考えられています。
斜視は視力の低下を直接引き起こすものではなく、あくまでも目の位置のずれを指す状態です。
ただし、斜視によって「両眼視機能」と呼ばれる、両目の情報を統合して立体感や奥行きを得る能力が低下しやすいことは事実です。
これが日常生活や競技にどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。
日常生活に影響はないのか?
斜視を持つ人の中には、視機能だけでなく、心理的・社会的な面でも影響を受けるケースがあります。
外見に関するコンプレックスから、アイコンタクトを避けたり、対人関係に不安を感じたりすることも少なくないとされています。
木原龍一選手がこの点をどのように捉えているかは詳しく語られていませんが、2026年のミラノ・コルティナ五輪後に「ひたすら泣いて…人生の中で初めて目が痛くなった」と話していました。
これは五輪の極限のプレッシャーによるものと思われますが、いかに消耗した大舞台だったかが伝わってきます。
そうした重圧と向き合いながらも第一線で活躍し続ける姿は、本当に頭が下がります。
斜視の有無にかかわらず、木原龍一選手の強さはメンタル面にも宿っているのではないでしょうか。
競技に影響はないのか?
斜視によって両眼視機能が低下すると、奥行きや距離感が掴みにくくなります。
高速で動くボールを扱う野球やサッカーのような競技では、この特性が不利に働く可能性があります。
では、フィギュアスケートのペア競技ではどうでしょうか。
実は、フィギュアスケートの特性がうまく作用している面もあると考えられています。
ペア競技ではパートナーとの距離が比較的一定で、動きもある程度予測可能です。
予測不能な動きへの瞬時の対応を求められる球技とは、この点が大きく異なります。
さらに、長年のトレーニングを通じて木原龍一選手が独自の感覚を磨き続けてきた点も重要です。
視覚情報だけに頼らず、体感覚や聴覚なども活用しながら脳が距離感を補正している可能性があります。
また、パートナーである三浦璃来選手との絶大な信頼関係も、演技の精度を支える大きな要素です。
アイコンタクトでタイミングを合わせるなど、二人の間には言葉以上のコミュニケーションが成立しているように感じます。
なお、斜視の手術は目の位置を矯正できるものの、成人後に受けると「複視(物が二重に見える)」が生じるリスクがあります。
これはアスリートにとって致命的な影響になりかねません。
加えて、長年慣れ親しんだ距離感が変わることや、回復期間中に練習ができなくなることも、現役中の手術を難しくする理由として挙げられます。
視力や演技に大きな支障がない現状では、手術のリスクを冒さないという判断は非常に合理的と言えるでしょう。
まとめ
木原龍一選手は先天性の内斜視を持ちながらも、独自の感覚の磨き方とパートナーとの信頼関係によって世界トップレベルの演技を実現しています。
斜視は視力を直接奪うものではなく、目の位置のずれに過ぎません。
その特性を受け入れ、乗り越えてきた木原龍一選手の姿は、多くの人に勇気と希望を与えてくれるはずです。

